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── 接客研修のスペシャリスト として活躍されている石坂先生が、
レストランやアミューズメント施設などのサービス業態を訪れる際に
注目するのはどのような点でしょうか?

スタッフ個人の接客テクニックよりも、店舗であればそのお店全体の雰囲気を見るようにしています。お店の雰囲気というのは、スタッフ一人ひとりの
「お店をどのようにしたいか」という気持ちの強さによって自然と創り出されるもの。
そしてそれが入店の第一印象としてお客様に伝わるのです。
── たしかに入店の瞬間に「なんとなくいいな」と感じるお店もあれば、
その逆もありますね。私にも経験があります。

それはスタッフのお店に対する想いが、ストレートにお客様に伝わっているからですよ。さらに言えば、その想いはお店の経営者や店長のモチベーションに左右されがちです。「お店の雰囲気が悪い」と感じる場合、まずはそこを疑った方がいいかもしれませんね。お客様は経営者が思うよりも敏感です。そんなときにテクニック重視の研修を取り入れても意味がありません。
お店の雰囲気やスタッフの想いは、決してテクニックでは改善されませんから。
── では、スタッフのお店に対する想いが改善された店舗とそうでない店舗の一番の差はどこにあらわれるのでしょうか?

ズバリ“あいさつ”です。あいさつに心がこもっていなければ、どんなに店内がキレイでも、機能的なレイアウトをしていても意味がありません。
マニュアル通りの接客ではなく、スタッフが「お客様に楽しんでいただく」という気持ちで接客しているかどうかは、あいさつを見ればだいたいわかります。
あいさつから始まるお客様との出会いを、なにより大切に考えるべきでしょう。
── まさに“心でおこなう接客”ですね。
石坂先生が「人の心は人の心によってのみ動かすことができる」という言葉を
信念とされる理由がわかる気がします。



感動するという言葉は、“感じて”“動く”と書きます。これは相手の心に自分の心が感応するという意味です。
現在、接客業は CS (カスタマーサティスファクション=顧客満足)から
CD (カスタマーディライト=顧客感動)の時代へと移り変わり、
より人の心を動かす接客が求められています。
心に響く接客をすることが、 CD の実現への一番の近道なのです。
── とはいえ、実際にそういった接客をすることは難しくないのでしょうか?

簡単です。 家族や肉親に対しての感情と同じに考えればいいんですよ。
家族や肉親に対して特別な感情を持つのは当たり前のことですよね?
心に響く接客というのは、まさにそれをお客様に伝えることなんです。
そして、ただ伝えるだけの自己満足に終わらず、実際にその想いが
“伝わる”ことが大切です。友達からの「ありがとう!」と、
お店を後にするときの「ありがとうございました」は、
同じ感謝の言葉であってもその受け取り方が違いますよね。
言葉の発信者と受信者が同じ気持ちを抱く 。
これこそ想いが伝わった状態なのです。
つまり、スタッフのお客様に対する想いが心に響き、
お客様がその想いを受け入れる接客が“心でおこなう接客”なのです。
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(インタビュー及び編集:筒井健二、写真撮影:GLOMAR LINKS)